540 RC回路のf特実験の参考例
settings.icon 以下の実験は$ RC回路における周波数特性を観測する例である.
☆☆ 注意 ☆☆
この実験を参考にするなら,なんのためにやるのかを明確に.
この章で提示されている実験をやっただけで,本テーマがクリアできるわけではない.
https://gyazo.com/f94d1175e137b395f9352ba78230fe0b
図540.1RC回路の過渡応答特性測定回路(再掲)
■概要:
$ RC回路にサイン波を印加し,周波数を広範囲に変化させ,特性を観測する.
遮断周波数$ f_cを発見する.
■測定条件:
入力信号: 1.0$ V_{p-p}サイン波
※$ v_1=1.0V_{p-p}になるように信号発生器の出力電圧(AMP)を調整
周波数:5kHz~80kHz程度(目安)
回路素子の値:抵抗$ R=10k\Omega,コンデンサ$ C=1000pF
■測定すべき値:
(1)入力電圧$ v_1,出力電圧$ v_2
※$ v_1はほぼ$ 1.0Vのままのはず
(2)$ v_1,$ v_2 ⇒ 振幅比($ dB値=20log_{10}(v_2/v_1)⇒グラフにプロット
(3)位相遅れ$ x ⇒ 位相差$ P(角度): $ 360\times f \times x ⇒ グラフにプロット
(4)遮断周波数$ f_c: 位相差$ P=-45\degreeまたは振幅比$ =-3dBとなる周波数を検出
https://gyazo.com/b3f33e41f2f25cc29bb0b73b8298b05b
図540.2$ RC回路の周波数特性
■準備:
準備(1) 時間応答と同じ接続,同じ回路定数.入力信号は正弦波.
準備(2) 信号の周波数を2kHz程度から100kHz程度まで連続的に変化させ,オシロスコープの時間軸を周波数に応じて調整しつつ,入出力信号のおおまかな変化の様子を把握する.
※こういう連続的な変化をスイープという.
f特の把握にはこの大まかな見方が非常に大切
準備(3) 実際の計測時は周波数を決めて,電圧$ v_1と$ v_2の振幅値と位相差をオシロスコープの波形から計測する.
準備(4) 振幅の計測では,サイン波ゆえに頂点を捉えにくい.こういう場合は,水平方向を縮めて信号を帯のようにして読み取る.ディジタルオシロではカーソルでの計測機能を使ってもよいが,かならず視認でも確認すること.
準備(5) 位相差の計測はゼロクロスポイントでの波の「ずれ」時間を読む(図A.8 の”x”).
※ゼロクロス:信号がGNDを横切る点
このとき,精密に読もうとして時間軸を拡大すればするほど,ゼロクロスでの波は角度が低くなり,横に寝てくるため,ずれが読みにくくなる.これを防ぐには,オシロスコープの縦方向(電圧)のスケールを目いっぱい上げる.そうすると波は縦方向に拡大され,ゼロクロス地点での角度がより垂直に近くなり,ずれは読み取りやすくなる.
◎ここで注意すべきなのは2つの信号のGNDの輝線をピッタリ一致させておくことである.とくにアナログオシロでは縦方向のレンジを調整すると,GNDの位置が変化する.マメにGNDチェックをすることで,精度を確保できる.
準備(6) このように振幅比と位相差は数値を見方が異なるので,オシロスコープの操作をする必要がある.これは一見面倒だが,振幅だけを全部測定してから位相差を測定するよりも,周波数毎に両方を計測してしまうやり方をお勧めする.信号発生器の周波数の変更を必要最小限にするほうが,誤差も少なく,どこかでミスがあっても取り直しやすい.
https://gyazo.com/a82ffb15bb7478eb71bc4ef9c6e63026
図540.3 位相ずれ$ xと位相差$ \thetaの関係
【実習課題540】(振幅比と位相差の測定)
以下はすべて,オシロスコープで計測する.本実験は計測と計算が同時進行する.
うまく手分けして合理的に進めるように協力し合おう.
手順(1) 周波数毎に入出力の振幅を計測し,振幅比v/vを求める.
周波数範囲はスイープで大体の目安を決めておく.
デシベル値$ 20log_{10}(v_2/v_1)を関数電卓で計算し,すぐに片対数方眼紙にプロットする.
回路用シャシに貼ってある数値を参考にして,滑らかな曲線が描けるように範囲と測定点を選ぶこと.
※特に$ f_c近傍は細かく測定すること.
手順(2) 位相差はオシロスコープ画面の時間軸上でのずれを測定し,そこから位相差を角度(degree)として算出し,すぐに片対数方眼紙にプロットする.
※回路の周波数特性のために$ v_1が変化することがある.注意せよ.
【検討課題540】(理想漸近線と遮断周波数$ f_c)
5-(A) 高周波域での減衰の速さを表す理論的な漸近線のを引き実験値と比較する.
※$ f_0を頂点とする-20dB/decadeの直線(図A.7参照)
5-(B) $ E_0から3dB downの遮断周波数$ f_cと時定数$ \tau= RCとの関係や,$ f_c=1/(2\pi CR)を吟味する.
【まとめ】
上記実習課題および検討課題で得られた数値を整理して示す.
表形式にまとめる.
【考察】
得られた結果(特に数値)を考察する.
※サブテーマごとに必ず考察すること
データやグラフをよく眺める.気になること,ひっかかることを一つでも見つける.
→ そこに注目し,さらに詳しく調べ,どういう原理が働いているのか,なぜそうなっているのかを考え,推測し,それを確認するにはどういう実験をすればよいかを考案する.
☆☆レポート作成のポイント☆☆
以下の点を整理してレポートにつなげよう.
◆1◆レポートに必要なデータはなにか?
◆2◆測定値から算出すべき値は何か?(下記参照)
◆3◆図表は何が必要か.それで何を伝えるつもりか.
◆4◆遮断周波数などの用語はどう整理すべきか.
◆5◆理論と実測で異なることはなかったか.もしあれば,それはなぜか.
◆6◆結局この実験では何を確認できたのか.
◆計算値(測定値より導出)
(a)$ f ≫f_cにおける振幅比減衰理論直線($ -20dB/decade):グラフに記入
(b)$ R,C値 ⇒ 遮断周波数算出$ f_c(Hz):$ f_c=1/(2 \pi RC)
以上.
2024/4/8